PGC.Journal 愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラデュエートコース   愛知学院大学歯学部同窓会

 

平成21年9月27日(日)9:30〜17:00
座長:須崎 明(P.G.C.実行委員)
シンポジスト:吉山 昌宏氏、桃井 保子氏、冨士谷 盛興氏

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  1. 「Tooth Wearとは何か?」- アンチエイジングの観点から考える−(吉山氏)
  2. 「Tooth Wear、う蝕の治療」- 今わかっていること、できること−(桃井氏)
  3. 「Tooth Wearの臨床的対処法」- 効率的かつ効果的な方法を追及する−(冨士谷氏)
  4. メーカーによる商品説明
  5. 「Tooth Wearの病態と対処法を徹底追及」(シンポジウム)
 
 
Tooth Wearとは何か?
−アンチエイジングの観点から考える−
講師:吉山 昌宏氏 (岡山大学大学院 医歯薬総合研究科 歯科保存修復学分野 教授)

う蝕や歯周病とは別に、エナメル質や象牙質に欠損を生じるTooth Wear が今、第3 の歯科疾患として世界的に話題を呼んでいる。欧米では、臨床的研究が進展しつつ、 特に最近では「Tooth Surface Loss」(TSL:歯質表面損失症候群)という、非う蝕性の表面歯質アパタイトの慢性的な損失を示す概念で学問的に体系づけされ、アンチエイジング歯学の重要な目標として確立されつつある。
TSL には咬耗・摩擦・酸蝕といったいわゆるTooth Wear のほかに、咬合応力ひずみ(アブフラクション)や歯根露出も含まれ、さらに漂白などの医療行為による医原性のものも最近は注目されている。
う蝕や歯周病は、その発生機序の解明と治療法の確立により、治療そして定期的管理を行うことによって治療あるいは再発防止できるようになってきている。しかしながらTooth Wear は、加齢にともなって発現率が高くなるが、発生機序は不明な点が多く、超高齢社会に突入したわが国では、う蝕・歯周病に次ぐ第3 の歯科疾患としての重要度が増すと考えられる。
また象牙質知覚過敏症(Dentin Hypersensitivity:Hys)も日本人の20 〜 30%に発症する可能性があることから、TSL の初期の兆候として見逃してはならない症状である。そこで今回は、Hys とTooth Wear の関連をアンチエイジングの観点からまとめて解説していきたい。

■講演内容の項目
1.Tooth Wear
2.Tooth surface loss(TSL)
3.アンチエイジング歯学
4.アブフラクション
5.咬耗
6.摩耗
7.酸蝕
8.象牙質知覚過敏症
■最近の文献
1.失敗しない歯髄保存療法,須田英明,中村洋,吉山昌宏編著,クインティッセンス出版,2006
2.接着性コンポジットレジン修復の基礎と臨床,ビョーロン・パブリッシャーズ社,2007
3.目的別PMTC とオーラルケア,クインテッセンス出版,2006
4.第3版保存修復学21,永末書店,2006
5.う蝕治療のミニマル・インターベンション,吉山昌宏,桃井保子編,クインテッセンス出版,2004
<略歴>
1957年 兵庫県に生まれる
1982年 徳島大学歯学部卒業
1986年 同大学院歯学研究科修了 同大学歯学部助手(歯科保存第一)
1988年 同大学歯学部付属病院講師
1994年 ジョージア医科大学歯学部客員講師
2000年 徳島大学歯学部助教授岡山大学歯学部教授
2001年 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科教授 日本歯科保存学会理事指導医
2003年 岡山大学歯学部附属病院副病院長 日本再生歯科医学会会長
2006年 岡山大学病院総合歯治療部部長
2007年 日本接着歯学会常任理事
2008年 日本歯科審美学会理事
 
 
Tooth Wear,う蝕の治療
−今わかっていること、できること−
講師:桃井 保子氏(鶴見大学歯学部 第1歯科保存学教室 教授)

これまでのう蝕治療は「Drill & Fill:削って詰めて」を中心としていた。う蝕を確実に除去し、修復物を脱落させず長持ちさせるためには、健全歯質の除去をいとわなかった。しかし、今、う蝕は細菌感染症である、初期う蝕は回復しうる、象牙質と歯髄は一体であることなどが理解されるようになると、う蝕治療は、感染歯質を非感染歯質から鑑別し感染部分だけを除去する治療(MI 治療) へ変化し、さらには、感染歯質の無菌化と再石灰化をはかる温存療法へ、より生物学的な疾病治療へと変貌している。一方、う蝕と歯周病に次ぐ疾患として最近注目されているのが、Tooth Wear である。歯と修復物は、口腔内で絶え間なく機械的な摩耗、また化学的な摩耗(酸蝕症)のリスクにさらされている。歯の摩耗量が1 年間で0.03 mm から 0.04 mm との報告は、摩耗が時間をかけて進行する現象であることを示している。しかし、この進行は患者の口腔内環境が変わればいくらでも加速する。日々の臨床において、歯ぎしり、誤った歯磨剤の選択、不適切なブラッシング、酸性の飲食物の摂取、唾液の減少、歯の欠損とくに臼歯部の欠損などを摩耗のリスクファクターとして常に念頭に置いておくことが必要である。今回の講演では、歯科治療の根幹を成すう蝕治療やTooth Wear において、今、何がわかっていて、日常の臨床で何ができるのかを皆さんに提示してみたいと思う。

■講演内容の項目
1.う蝕発生のメカニズム
2.う蝕のリスクファクター
3.う蝕の検査と診査
4.エナメル質う蝕
5.象牙質う蝕
6.根面う蝕
7.MI に基づくう蝕治療
8.接着修復
9.Tooth Wear のリスクファクター
10.Tooth Wear への対処
■最近の文献
1. う蝕治療のミニマルインターベンション象牙質- 歯髄を守るために,クインテッセンス出版,監修吉山昌宏,桃井保子,2004.
2. 保存修復学21 第三版,監修:田上順次,千田彰,奈良陽一郎,桃井保子,永末書店,2006.
3. う蝕学−チェアサイドの予防と回復のプログラム−,編集:田上順次,花田信弘,桃井保子,永末書店,2008.
4. 10-year Clinical Evaluation of a Self-etching Adhesive System, Akimoto N, Takamizu M, Momoi Y, Operative Dentistry 32: 3-10, 2007.
5. Determination of bactericidal activity of antibacterial monomer MDPB by a viability staining method, Imazato S, Ohmori K, Russell RR, McCabe JF, Momoi Y, Maeda N,Dent Mater J 27:145-8, 2008
<略歴>
1951年 長崎県に生まれる
1976年 鶴見大学歯学部卒業
1976年 鶴見大学歯学部第一歯科保存学教室 助手
1983年 鶴見大学博士(歯学)取得
1986年 同 講師
1991年 英国ニューキャッスル大学歯学部研究員
2003年 鶴見大学歯学部第一歯科保存学教室 教授
現在に至る
 
 
Tooth Wearの臨床的対処法
−効率的かつ効果的な方法を追求する−
講師:冨士谷 盛興氏(愛知学院大学歯学部 保存修復学講座 准教授)

健康日本21 が推進され、歯の寿命も延びてきた事により、う蝕ではない歯の疾患が臨床の現場で多く見られるようになりました。なかでも、Tooth Wear と称される、咬耗症、摩耗症、酸蝕症、ならびにそれらに伴う、くさび状欠損と象牙質知覚過敏症は、生活習慣病とも捉えられており、これらへの対応は急務です。
したがって、患者のQOL 向上を指向したヘルスプロモーションの実践が責務である。我々歯科医療従事者は、Tooth Wear に対し治療を中心とする臨床的対処(キュア)と、予防を中心とした管理型治療(ケア)の双方を実践しなければなりません。
Tooth Wear の症状の一つであるTooth Surface Loss に対し、コーティングあるいは充填するだけでは、「対症療法的Tooth Wear 治療」で意味がありません。生活習慣改善への介入も含めた管理型ケアの実践が必要です。
本講演では、Tooth Wear の効率的かつ効果的な臨床的対処法(プロフェッショナルキュアとケア)として以下のトピックについてお話しようと考えています。
1.Tooth Wear に対する臨床的対処法(勘どころを中心に)
2.象牙質知覚過敏症(生活歯の形成によるものも含む)の最新の考え方と臨床的対処法
3.生活習慣を踏まえた患者指導のポイント(酸蝕症,Hys を中心に)

■講演内容の項目
1. Tooth Wear の内科的治療と外科的治療
2. 除菌療法,再石灰化療法
3. 咬耗症,摩耗症の対処法
4. 酸蝕症のキュアとケア
5. くさび状欠損の対処法(修復を中心に)
6. 象牙質知覚過敏症に対する種々の戦略
(薬剤塗布からレーザーまで)
7. 生活歯形成時の象牙質/
歯髄複合体の保護(術後症状が出ないためには)
8. 象牙質コーティングとMI審美接着修復
9. ワンステップボンディング材のかんどころ
■最近の文献
1. 第3 版 保存修復学21(共著),永末書店,2006.
2. 臨床歯科理工学(共著),医歯薬出版,2006.
3. 失敗しない歯髄保存療法(共著),クインテッセンス出版,2006.
4. 接着性コンポジットレジン修復の基礎と臨床(共著),ヒョーロン・パブリッシャーズ,2007.
5. 症例でみる歯科用レーザーの有効活用(共著),ヒョーロン・パブリッシャーズ,2008.

<略歴>
1956年 広島県に生まれる
1982年 東京医科歯科大学歯学部卒業
1986年 東京医科歯科大学大学院修了、同歯科保存学第一講座 助手
1988年〜1989年 米国ハーバード大学フォーサイス客員研究員
1995年 東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第一講座 講師
2001年 広島大学歯学部保存修復学講座助教授
2004年 広島大学病院 むし歯・変色歯診療科長
2008年 愛知学院大学歯学(7月1日より)

 
  近年、う蝕や歯周病の病因や病態が明らかにされ、その治療法や予防法についても変化してきました。それに伴い、患者のQOL を高めるために歯の喪失を最小限にすることが可能となりつつあります。しかしながら、歯を残存させることにより発生した新たな疾患、すなわち第三の疾患といわれる象牙質知覚過敏症、Tooth wear、根面う蝕への対処法が問題となっています。この3 つの疾患については十分な研究がおこなわれておらず明確な対処法も確立されていません。中でもTooth Wear はTooth Surface Loss とも呼ばれ、う蝕を原因としない歯質の実質欠損としてその病態や治療法が注目されるようになりました。
そこで今回はTooth Wear に精通した吉山昌宏先生、桃井保子先生、冨士谷盛興先生をお招きし、シンポジウムを行いTooth Wear の病態と対処法を徹底追及します。またTooth Wear の対処法に役立つ歯科材料を取り扱うメーカーによる商品説明も企画しております。多くの歯科医師、歯科衛生士方の参加をお待ちしております。「見て」「聞いて」「触って」Tooth Wear を極めましょう。
 
 
1996年 愛知学院大学歯学部卒業
  2000年

同大学院歯学研究科修了
同大学歯学部助手(保存修復学講座)

  2002年 同大学歯学部講師
  2003年 モンゴル国立健康科学大学客員助教授
  2005年

愛知学院大学歯学部非常勤講師
ぱんだ歯科開院

   

 
 
  1. 現代の治療指針2008 歯周治療と全治療分野:共著(クインテッセンス出版),2008
  2. ラタイチャーク カラーアトラス 歯周病学 第3版:日本臨床歯周病学会訳:監訳支部協力者(永末書店),2008
  3. 症例で見る歯科用レーザーの有効活用:共著(日本歯科評論),2008
  4. 歯科器材ガイドブック2009:共著(医歯薬出版株式会社),2008
  5. 現代の治療指針2009 欠損・審美補綴と全治療分野:共著(クインテッセンス出版),2009
   
 
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