<西沢 邦浩氏>
健康寿命の短縮につながる疾病の典型例として挙げられるのが、糖尿病と骨粗鬆症/変形性関節症だ。前者は全身の代謝不全や糖化を招きつつ老化を進行させ、後者は骨折や歩行障害の原因になり死亡リスクを高める。そして歯科にとって非常に重要なのが、双方ともに口腔の健康と密接な関係を持つこと。多くの研究が示唆するように歯周病の治療は糖尿病を改善し、また骨の脆弱化は口腔機能の低下に直結する。
一方、常に観察できる状態にある口腔のチェックによって多くの全身疾患リスクが予測でき、重篤化を防ぐことが可能だ。歯科用レントゲンで骨粗鬆症を推定できるソフトウエアが登場し、呼気で腸内に肥満促進菌生息の有無が確認できる分析法が開発され、唾液検査で性ホルモンやストレスホルモンが測定できるなど、口腔のチェックが健康維持に果たす役割を高める技術が次々に登場している。
歯科が「ヘルスケアステーション」になるべき理由はそろっている。その理由をエビデンスをもとに確認し、そのための要件を探りたい。
<池山 和幸氏>
美しさを求める美容医療と審美歯科、日々の手入れが重要なスキンケア・口腔ケア、鏡を用いるメーク動作・歯のブラッシング動作、口元へのアプローチとしてのフェイスマサージ・お口の体操など、化粧・美容領域と歯科領域にはいくつかの共通点があることにお気づきでしょうか。
弊社は、健常高齢者や要介護高齢者を対象に、高齢者美容サービス(化粧療法プログラム)を提供しています。本講演では、これまでの事業や化粧療法研究を通じてみえてきた「粧う」ことが「食べる」や口腔ケアに及ぼす影響について紹介させていただきます。また、資生堂と歯科衛生士や歯科医師と連携して取り組んで来た事例も交えて紹介します。
異分野・異業種ではありますが、双方が融合することで新しい価値が生まれることを願っております。