PGC.Journal 愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラデュエートコース   愛知学院大学歯学部同窓会

 
日時:平成26年12月14日(日)9:30〜17:00
講師:西沢 邦浩氏・池山 和幸氏

> 講演後記

 
 

<西沢 邦浩氏>

健康寿命の短縮につながる疾病の典型例として挙げられるのが、糖尿病と骨粗鬆症/変形性関節症だ。前者は全身の代謝不全や糖化を招きつつ老化を進行させ、後者は骨折や歩行障害の原因になり死亡リスクを高める。そして歯科にとって非常に重要なのが、双方ともに口腔の健康と密接な関係を持つこと。多くの研究が示唆するように歯周病の治療は糖尿病を改善し、また骨の脆弱化は口腔機能の低下に直結する。
一方、常に観察できる状態にある口腔のチェックによって多くの全身疾患リスクが予測でき、重篤化を防ぐことが可能だ。歯科用レントゲンで骨粗鬆症を推定できるソフトウエアが登場し、呼気で腸内に肥満促進菌生息の有無が確認できる分析法が開発され、唾液検査で性ホルモンやストレスホルモンが測定できるなど、口腔のチェックが健康維持に果たす役割を高める技術が次々に登場している。
歯科が「ヘルスケアステーション」になるべき理由はそろっている。その理由をエビデンスをもとに確認し、そのための要件を探りたい。

<池山 和幸氏>

美しさを求める美容医療と審美歯科、日々の手入れが重要なスキンケア・口腔ケア、鏡を用いるメーク動作・歯のブラッシング動作、口元へのアプローチとしてのフェイスマサージ・お口の体操など、化粧・美容領域と歯科領域にはいくつかの共通点があることにお気づきでしょうか。
弊社は、健常高齢者や要介護高齢者を対象に、高齢者美容サービス(化粧療法プログラム)を提供しています。本講演では、これまでの事業や化粧療法研究を通じてみえてきた「粧う」ことが「食べる」や口腔ケアに及ぼす影響について紹介させていただきます。また、資生堂と歯科衛生士や歯科医師と連携して取り組んで来た事例も交えて紹介します。
異分野・異業種ではありますが、双方が融合することで新しい価値が生まれることを願っております。

 

 
 

<西沢 邦浩氏>

  1. 現代人の健康問題
  2. アンチエイジング医学の注目トピック
  3. 口腔と関係が深い全身疾患や器官
  4. 口腔から可能な疾患リスクチェックと健康づくり
  5. 口腔内情報を健康管理につなげるためのテクノロジー

<池山 和幸氏>

  1. 高齢期の生活と粧う
  2. 高齢期の化粧実態
  3. 化粧と食事
  4. 化粧行為と口腔ケア
  5. 化粧療法が口腔機能に及ぼす影響
 
 
<西沢 邦浩氏>
日経BP社ビズライフ局 プロデューサー 兼
日経BPヒット総合研究所 上席研究員 兼
テクノアソシエーツ ヴァイスプレジデント

84年早稲田大学卒業。小学館を経て、91年日経BP社入社。開発部次長として、流行情報マガジン『日経エンタテインメント!』の創刊などに携わる。98年『日経ヘルス』創刊と同時に副編集長に着任。2005年1月より同誌編集長。2008年1月から10年7月まで、40代50代の女性向け健康美容誌『日経ヘルス プルミエ』(2008年3月創刊)編集長。現肩書にあるテクノアソシエーツは、日経BP社と三菱商事のジョイントベンチャーによるマーケティング/コンサルティング会社。
健康美容情報に関して高いリテラシーを持った人材を養成する講座「健康美容情報認定講座」を主宰。2006年〜2010年まで東京女子医科大学外部評価委員。2012年から早稲田大学の全学オープン科目「健康とビジネス」講師。「大人のラヂオ」(ラジオ日経)にレギュラー出演するほか、TV、ラジオ出演、セミナー講師・司会等多数。

<池山 和幸氏>
京都大学大学院医学研究科修了(医学博士)
在学中にNHK学園専攻科社会福祉コース卒業(介護福祉士取得)
2005年資生堂入社(現在に至る)
現在、新領域研究センターにて「高齢者と化粧」をキーワードに化粧の新しい価値開発を行っている

所属学会
日本老年社会科学会、日本応用老年学会、日本介護福祉学会、日本口腔ケア学会

 
 

<西沢 邦浩氏>

  1. 「日経ヘルス」(毎月2日発行、日経BP社刊)
  2. 日経BPムック「元気で長生きバイブル」(日経BP社刊)
  3. 「大人のラヂオ」(毎月第一土曜日夜20:30~22:00)日本抗加齢医学会理事長・慶應大学教授の坪田一男先生と出演

<池山 和幸氏>

  1. 豊泉深秋、池山和幸、下村義弘、勝浦哲夫 短時間の軽作業における筋電図データに適した解析手法の検討 投稿中
  2. 池山和幸 高齢者の生活機能とQOLを支える化粧のちから〜粧うことで健康長寿を目指す〜 野村證券ヘルスケアノート2014年1月
  3. 池山和幸 香粧品と高齢女性の行動変容 オレオサイエンス 2013
  4. 池山和幸 高齢者に対する化粧療法プログラムによる心身改善効果 人間生活工学2012
  5. 彭春栄、池山和幸、下村義弘、勝浦哲夫 日常のスキンケアにおける上肢の筋活動 -若年女性と高齢女性の比較- 人間生活工学 2012
 
 
2014年12月14日に第7回平成26年度ポストグラデュエートコースが開催されました。 今回の演題は「時代のトップランナーが歯科の未来を語る―老いと向き合う魔法のメイクとエイジングケア―」で、講師として日経BPヒット総合研究所にて多岐にわたりご活躍されております西沢邦浩先生、並びに株式会社資生堂リサーチセンターより医学博士、また介護福祉士の資格もお持ちである池山和幸先生をお招きしまして、ご講演をして頂きました。 まず初めに、西沢先生より「歯科が国民の健康管理の拠点となるために―エビデンスから構築する全身歯科を考える―」というご講演をして頂きました。
メンタルと食生活は全身的だけではなく口腔内にも様々な影響を及ぼすことが研究よりわかっており、ストレスは腸や口腔内の細菌叢にまで影響を及ぼすことを教えて頂きました。 また、全身疾患と口腔の関連についてのエビデンスを例にわかりやすくお話頂き、これからの歯科のありかたについて学びました。
次に池山先生より、化粧・美容領域と歯科医療における考え方や動きには共通点があることから、整容としての化粧と口腔ケアについてお話して頂きました。さらに、化粧療法研究を通じて、高齢者に対する具体的な例をいくつか示していただき、化粧療法により高齢者の自立度があがることを学びました。 普段臨床の現場において触れることとない領域だったため大変興味深くお話を聞かせて頂きました。また日常生活において密接な内容であったため、患者さんとのコミュニケーションにも使える知識であると思いました。
これからは臨床だけではなくこういった別の目線からも歯科について学んでいく必要があると感じました。

 

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