●日時:2023年11月19日(日)9:30~12:30
●講師:阿部 馨三 氏
2000年に介護保険法が施行されました。そして私が在宅歯科診療に携わって20年以上経ちます。最初は「口から食べれなくなったら諦めますという方」、「亡くなるまで美味しく食べれるようお口の管理をお願いします」などターミナルの意味合いの深い関わりが多かった気がします。今では訪問歯科も口腔ケアも一般的なものになってきましたが、現在に至るまで様々な変化がありました。かむことや口腔清掃が十分できない方にとって、歯科治療・特に口腔ケアは命を繋ぐものとなります。最近では「予約を守らない」、「急に怒り出す」、「今までできていたのに歯磨きができなくなった」など認知症の疑いがある方も増えてきています。
今回は訪問歯科診療で培った口腔ケアを中心に、基本的な部分から移乗や認知症の方への対応など、院内でも活用できる知識とテクニックをお伝えし、歯科医師・歯科衛生士としての役割をお話しできればと思います。そして生涯のかかりつけ医として最後まで自身の患者さんを診る一助になればと思います。
食べれなくなる前に、衰える前にできることもある。Key Wordは「診療室にもいらっしゃいますよね」です。
日本アンチエイジング歯科学会副会長
日本口腔インプラント学会会員
日本認知症予防学会会員
東海臨床歯科研究会専務理事
愛知学院大学歯学部同窓会理事
日本アンチエイジング歯科学会認定医
介護支援専門員(平成26年取得)
令和5年11月19日(日)第3回愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラデユエートコースが愛知学院大学楠元キャンパスにおいて対面とZoomでのWeb受講により開催されました。
講師には愛知学院大学歯学部卒業で岐阜県開業の医療法人康保会阿部歯科医院理事長の阿部馨三先生をお招きし、「原点から学ぶ訪問歯科診療」―臨床でも使える介護のテクニック・口腔ケア・認知症への対応など―という演題でご講演いただきました。
時代とともに在宅歯科医療も変わってきております。初めのころは、「お口から食べれなくなったら諦める」と言われてましたが、口腔機能が衰える前に維持するように予防をする考え方に変化してきています。
加齢による変化は、身体機能の変化と精神・心理的機能の変化に分けられ運動は身体機能の変化によるもので最近ではオーラルフレイル(虚弱)と言われ基礎代謝の低下・低栄養体重の低下・サルコペニアがありこのサイクルを繰り返すことにより介護に移行すると言われています。
口腔ケアには器質的口腔ケアとして口腔清掃がありブラッシング・粘膜痂皮の除去・義歯の清掃等により口臭が減り味がわかるようになりその結果食欲が出るようになります。また、機能的口腔ケアとしては、口腔機能改善 摂食・嚥下改善がありそれにはまず口腔機能のチェック(飲み込みにくくなった、食事中むせることがある、痰がよく絡む、食後によく咳き込む)をして、その内容に応じたアプローチを実際に即して解説していただきました。
また、これからの課題として認知症が疑われる人に対するかかりつけ歯科医の対応について傾聴と共感をベースに考え避けるべきことについても分かりやすく説明していただき明日からの訪問歯科診療に役立つ大変有意義な講演会でした。