日時:平成27年7月12日(日)9:30〜17:00
講師:和泉 雄一 氏

> 講演後記

へルスケアにおける口腔と全身との関連性が科学的に追求され、歯周病が糖尿病、循環器疾患、呼吸器疾患といった生活習慣病に密接に関係していることが明かにされ、さらに、早産・低体重児出産にも深く関わっていることが報告されている。歯周治療を行うことにより、口腔内の慢性炎症を改善し、全身の健康増進に深く寄与することが注目されている。
歯周治療を的確に進めることによって、probing depth の減少やprobing attachment level での付着の獲得が得られるが、破壊された歯周組織を完全に復元することは不可能である。近年の再生治療の進歩により、炎症によって破壊された歯周組織を元の健康な状態に回復させるという目標に近づきつつある。さらに、検査技術の進歩、抗菌治療やレーザーの応用が加わり、多彩な歯周治療が可能となった。また、歯周治療の知識と技術は、インプラント治療の最大の合併症であるインプラント周囲疾患の予防と治療に大きな力を示す。今後の歯科治療を進める上で、歯周治療の知識と技術の習得が不可欠である。
 口腔内に関心をもち、十分な口腔ケアを行うなどの生活習慣の改善によって、口腔疾患の予防、治療、口腔の健康の維持管理が十分可能である。誰もが長寿を謳歌するうえで、健康で文化的な毎日が送れる生活の質(QOL)を高めることが大切である。その一助として、歯周病を克服することが急務である。

  1. 歯周病の最新の基本知識
  2. 歯周病の検査・診断
  3. 歯周治療の基本
  4. 歯周治療における抗菌治療
  5. 歯周形成外科治療
  6. 歯周組織再生治療
  7. 歯周治療におけるレーザーの使用
  8. インプラント周囲疾患の治療
  9. 慢性炎症としての全身へのリスク
    ・糖尿病
    ・心臓・循環器疾患
    ・早産・低体重児出産

1979年 東京医科歯科大学歯学部卒業
  1983年 東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了 歯学博士
東京医科歯科大学歯学部歯科保存学第2講座 助手
  1987年

ジュネーブ大学医学部歯学科客員講師

  1992年 鹿児島大学歯学部歯科保存学講座(2)助教授
  1999年 鹿児島大学歯学部歯科保存学講座(2)教授
  2003年 鹿児島大学歯学部附属病院 副病院長
  2007年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 教授
  2008年 東京医科歯科大学歯学部附属病院 病院長補佐
  2014年 東京医科歯科大学副理事
 


【学会活動】
日本学術会議連携会員、日本歯科医学会常任理事、日本歯周病学会理事長、日本歯科保存学会常任理事、WCOI Japan 理事、日本口腔インプラント学会代議員、日本レーザー歯学会代議員、日本再生医療学会代議員、American Academy of Periodontology(International Member)、American Society of Microbiology(ActiveM e m b e r )、A s i a n P a c i f i c S o c i e t y o f Periodontology(Treasurer)


  1. 新インプラント周囲炎へのアプローチ、編著 永末書店、東京・京都、2010
  2. 歯周治療・インプラント治療におけるEr:YAG レーザーの使い方、編著、医学情報社、東京、2011
  3. インプラント時代の歯周マネージメント、編著、デンタルダイヤモンド、東京、2011
  4. 歯周治療へのアプローチ、編著、永末書店、東京・京都、2012
  5. 成功する歯周組織再生治療 ―歯を保存するために―、編著、医歯薬出版株式会社、東京、2012.
  6. ザ・ペリオドントロジ−、第2 版、編著、永末書店、東京・京都、2014

平成27年7月12日に第2回ポストグラデュエートコースが開催されました。 今回の演題は「今のスタンダード 歯周治療のこれから」で、講師として、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野 教授 和泉 雄一郎先生をお招きして、ご講演をして頂きました。 まず、歯周治療の最新の基本知識から、治療の重要性等を沢山のスライドを使って、教えて頂きました。口腔内細菌のより深い知識も得ました。 次に歯周外科分野では、実際の症例の治療結果や考察を聞かせて頂きました。 そしてサイトカイン療法、多血小板血漿(PRP)の応用、細胞増殖因子を用いた組織再生治療の最新の研究結果は、非常に興味深いものでした。 最後は歯周病と循環器疾患との繋がり、インプラント周囲炎について学ばせて頂きました。 実際の臨床でも、歯周病の患者さんは多いので、勉強になりました。 これからもより一層歯周病学の知識を深めていきたいです。