近年、包括的歯科医療の重要性が認識されてきたことや患者の審美性、機能的改善への要求度の高まりなどの背景から、一般歯科臨床における矯正歯科治療のかかわりはますます強くなってきており、矯正歯科を専門としない臨床医にも、矯正歯科治療についての知識と技術の必要性が増してきているように思われます。そのような現況にあっても矯正歯科治療の特殊性によって、現行の診療システムが時間配分、また精神的にも煩雑になることを憂慮され、その導入を見合わせている先生も多いのではないでしょうか。そこで、
・ 矯正治療の経験の少ない一般臨床医が日常臨床で実践できる内容であること
・ 臨床において治療効果が大きく、リスクが少ないテーマであること
・ 矯正治療の特殊性を活かした内容であること
などの事項を考慮して、本年度は「インダイレクトボンディングテクニック(ブラケットの間接接着法)」をテーマとした実習を企画いたしました。
インダイレクトボンディングテクニックとは術後の咬合状態を想定して石膏模型上で決定したブラケットポジションを口腔内で正確に再現して装着する術式の総称です。
矯正治療ではブラケットをどれだけ正確な位置に装着できるかが治療成功の鍵になります。インダイレクトボンディングテクニックはきわめて煩雑な技工操作を必要としますが、直接口腔内にブラケットを装着するのに比べ、正確な位置付けが可能となるだけでなく、チェアタイムの短縮によって患者さんの治療時の不快感を軽減することができます。
そこで、今回の実習ではシリコーン印象材を用いた簡便な術式を習得していただきます。本コースで行う実習において基礎知識や基本技術を習得していただければ、マルチブラケット装置の装着に対するイメージを払拭することができ、安心して日常臨床へ導入していただけるものと思います。
また、本コースでは3D画像から作製したバーチャルセットアップ模型を用いた最新のインダイレクトボンディングシステムの紹介ならびに先生方が行っておられる矯正治療へのコンサルティングも予定しています。これまでにご参加いただいた先生も、初めての先生も是非ご参加ください。