歯科治療でのエックス線診断は、これまで主としてデンタルエックス線写真による二次元での診断が主として行われてきた。デンタルエックス線写真はパノラマエックス線写真に比べて細部の再現にすぐれ、寸法変化が少なく、コントラスト、骨梁の観察などにおいて有利である。しかし、二次元での審査には限界があり、入射角度による画像の変化や、通過する皮質骨の厚みにより病変の抽出が困難になるなどの問題点を有している。これらの問題点を解決し、より確定的な診断を行うためのツールとして1990年代より医家用CTが注目されてきた。しかし、エックス線被曝の問題などに理由により、歯科治療においてCTを有効活用するといった大きな進展はなかった。その後被曝量が少ない歯科用コーンビームCT(以下、CBCT)の発達・普及によりインプラントのみならず歯周治療でも診断のツールとして有効活用される兆しがみえてきた。CBCTに基づいた診査や治療計画は今までの歯周治療の体系を変化させる可能性を秘めている。本講演会では、歯周治療、歯肉療法、抜歯、小外科、矯正治療、上顎前歯部インプラント、上顎臼歯部インプラント、下顎インプラント、それぞれにおける診査、診断、有効活用について述べた。