> 講演後記
平成24年6月3日(日)愛知学院歯学部楠元学舎にて、「細菌学的にペリオを診る」と題して講師に鶴見大学歯学部 探索歯学講座 教授 花田信弘先生・大阪大学大学院歯学研究科 予防歯科学教室 教授 天野敦雄先生をお招きして、第1回ポストグラデュエートコースが開催されました。 午前には、花田先生のご講演により歯周病とは慢性的な共生バランス失調(Dysbiosis)による口腔内で腐敗現象に陥っている状態であり、治療には、共生バランス失調の状態から細菌との共生である(Symbiosis)の状態に戻すことが重要であること。歯周病菌を口腔内から排除し、常在細菌と生体の調和(Symbiosis)を保つことが健康長寿への1つの確実な道へとなること。歯科医療の専門科は、唾液の定期検査によって常在細菌叢と自然免疫のバランスを監視し、腐敗細菌による共生バランス失調の状態を早期に発見し、歯面クリーニングとPrebiotics・Probiotics・Antibioticsの技術を駆使し細菌叢を早期に健全化する事が重要であることなどをご講演いただきました。 午後の天野先生のご講演では、歯周病細菌の中でも悪玉3菌種(Red complex)P.gingivalis T.denticola T.forsythia は歯周病抑制の研究ターゲットになっていること。歯周病患者の9割以上からP. gingivalisの線毛型U型は検出されることより、細菌検査によって、歯周病の発病に関する因子で線毛型を事前に知っておくことは、治療をすすめるうえで重要になること。また、歯周ポケットに形成された潰瘍面から抹消血管に侵入し全身を駆け巡る歯周病細菌こそが、低体重出産・ 心冠状動脈疾患・糖尿病・脳血管疾患などを憎悪させる原因であり、歯周病細菌と歯周組織の拮抗が崩壊しないように歯科医療従事者は注意深く見守る必要があるとご講演いただきました。細菌学の視点から、歯周病を予防し、コントロールするためのさまざまなアプローチをお二人の先生からわかりやすくご講演いただき日々の臨床に役立つ情報を多数いただきました。 講演後は活発な質疑応答に丁寧にお答えいただき大変有意義な時間となりました。