PGC.Journal 愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラデュエートコース   愛知学院大学歯学部同窓会

 
日時:平成23年12月11(日) 9:30〜17:00
講師:下地 勲氏

> 講演後記


 
  近年、再生療法、すなはち、GTR、エムドゲイン、GBR、PRPなどの臨床への応用が可能となり、また、新たな歯胚形成の可能性への期待も高まっている.
しかし、本講演 では特別な手段あるいは材料などを利用するのではなく、すでに存在する生体の組織である歯根膜のもつ機能をいかに最大限に引き出し,臨床効 果をあげるのかをとりあげたい。歯科において歯根膜ほど身近で重要な組織はないと思われ、すでに膨大な量の基礎研究は発表されている。しかし、臨床の中で歯根膜が実際にどのような役割をはたしているのか、さらには治療の中の様々な局面で具体的に歯根膜をどう活用すればよいのかを包括的に示した報告はほとんど存在しない.
今回は歯根膜の再生,恒常性維持,感覚の3機能を中心に多くの症例をとおして提示し、歯根膜が予想以上に優れた生物学的特性を有する組織であることを先生方に実感していただき、天然歯保存の意義の再認識につながればと思う。
歯根膜を最大限に活用する治療が自家歯牙移植であるが、移植以外にもエンド、ペリオなど臨床全般に及ぶ歯根膜の活用例、自家歯牙移植とインプラントとの使い分けについてもふれたい.時間の許す限りなるべく多くの多様な長期症例を、退屈にならない範囲で理論背景と常に結びつけて提示したい。
 
 
  1. 簡単に歯をぬかないで!
  2. インプラントの評価
  3. 歯根膜の発生
  4. 歯根膜の再生機能
  5. 歯根膜の恒常性維持機能
  6. 歯根膜の感覚機能
  7. 欠損歯列への歯牙移植の活用
  8. 歯牙移植の術式の要点
 
 
1972年 東北大学歯学部卒業
  1975年 那覇市開業
  1984年 国立市開業
 
【所属】
火曜会、臨床歯科を語る会、多摩抄読会、自家歯牙移植研究会

 
 
  1. 「歯根膜による再生治療」(2009年、医歯薬出版)
  2. 「入門・自家歯牙移植 ー理論と臨床ー」 (1995年,永末書店)
  3. 「自家歯牙移植の臨床像」(編著)(1996年,クインテッセンス出版)
  4. 「治癒の病理ー臨床編・第3卷・歯の移植・再植」(共著)(1995年,医歯薬出版)
  5. 主な訳書(書籍)
    「歯牙再植と移植の治療学」(共訳.著者Jens O. Andreasen,1993年,クインテッセンス 出版)
 
 

平成23年12月11日(日),愛知学院大学歯学部楠元学舍にて,第8回ポストグラデュエートコースが開催されました.講師に東京都国立市開業の下地勲先生をお迎えして,「歯根膜による再生治療 −インプラント治療を考える前に−」という演題にてご講演賜りました.講演当日は朝から天候も良く,大勢の受講生の方に参加いただきました.
午前中の講演では,歯を保存することの大切さについて,安易に抜髄しない,安易に抜歯しない,抜歯せざるをえない場合には歯の移植・インプラントを検討するという診療方針をもとに,提出,再植など様々な治療法を数多くの症例を用いてご説明いただきました.また発生の過程を知ることなしに治癒のメカニズムは理解できないというコンセプトのもと,@歯根膜の発生,A歯根膜の再生機能,B歯根膜の恒常性維持機能,C歯根膜の感覚機能について詳しく解説いただきました.
午後の講演では,自家歯牙移植がインプラントより有利な点として,過大な咀嚼力から歯を守るセンサーとなることを,症例を通じてご説明いただきました.その後,若い先生たちにもわかりやすく,移植・再植について,@手がけやすい症例,A起こりうるトラブルとその際の対応,B実際の術式のポイントなどについて具体的に解説いただきました.
講演終了後は多くの質問に丁寧にお応えいただき,今後の臨床に有効な情報を数多くいただきました.下地先生の「移植することで歯根膜のスゴさを知った.ここから治療に対するスタンスが変わった!」という言葉に重みを感じる,説得力のある講演でした.


 
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