PGC.Journal 愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラデュエートコース   愛知学院大学歯学部同窓会

 
日時:平成23年9月4(日)9:30〜17:00
講師:石上 友彦氏

> 講演後記

 
  オッセオインテグレーテッドという用語は現在インプラント治療の代名詞となっていますが、これは骨と統合されることを意味し、真に患者さんの種々な条件下において、患者さんに統合した治療かは疑問が残ります。演者はインテグレーテッドデンチャーと言う概念を推奨します。経年的な患者さんの変化に対応統合(インテグレート)する義歯を製作する必要があるからです。患者さんの背景を考慮した歯科医師の治療計画が治療の良し悪しを大きく左右することになります。
今回はまず、演者が義歯作製時に確認する9つのポイント(1、残存歯をどうするか2、維持装置をどうするか3、咬合平面の修正が必要か4、咬合高径、顎位が正しいか5、オクルーザルストップの確保ができるか6、把持面が確保できるか7、対合歯との力関係8、審美的要求度9、経済的問題)について臨床例を供覧しながら提示し、演者が多用している磁性アタッチメントの要点も紹介したい。また、インプラント治療の問題点についても臨床例を供覧しながら考えてみたい。インプラントにしろ義歯にしろ、種々な補綴的バランスに加え患者と歯科医師のバランス等、種々な関係が相乗的に義歯の術後経過に影響を与えます。そしてどのような治療を行うにしても種々のバランスを考えた適応を選択することと責任を持って術後の管理を行うことが必要不可欠です。
 
 
  1. 部分床義歯の設計
  2. 維持装置の選択
  3. 部分床義歯の咬合
  4. 保険治療と自費治療
  5. 難症例への対応
  6. 磁性アタッチメントの基礎と臨床
  7. インプラント治療の問題点
  8. 顎顔面補綴の紹介
 
 
1978年 日本大学歯学部 卒業
  1983年 東京医科歯科大学大学院歯学研究科修了 学位取得
東京医科歯科大学歯学部医員(冠橋義歯学)
  1986年 愛知学院大学歯学部助手(部分床義歯学)
  1988年 UCLA 顎顔面補綴科 Felloship  (平成元年8月まで)
  1992年 愛知学院大学歯学部講師
  1999年 愛知学院大学歯学部助教授
  2001年 日本大学歯学部補綴学教室U講座 教授  現在に至る
 
【所属】
日本補綴歯科学会(代議員)、日本顎顔面補綴学会(理事長)、日本磁気歯科学会(理事長)、口唇口蓋裂学会(評議員)、日本歯学系学会協議会(理事)、米国顎顔面補綴学会(国際交流委員)、国際顎顔面リハビリ学会(理事、プログラム委員)

 
 
  1. パーシャルデンチャーの将来展望、p703-717、東京都歯科医師会雑誌、56(12)、2008年12月
    ・Quint essence YearBook 2009 現代の治療指針;遊離端義歯をどのようにつくるか、p48−51、クインテッセンス出版、2009、1月
  2. 今日の治療指針;26章、歯の欠損と補綴,インプラント、p1123-1124、医学書院、2009年1月1日
  3. 磁性アタッチメントの現状、p58−66、日本歯科評論69巻(7)、2009,7月
  4. パーシャルデンチャーの立場からみた咬合、p49-61、日本歯科評論70巻(1)2010,1月
  5. 部分床義歯(補綴)を考えるーインプラントが第一選択かー,p25-34,日本歯科医師会雑誌,62(10),2010,1月
 
 
平成23年9月4日(日)、日本大学歯学部補綴科教授石上友彦先生をお招きし、第5回ポストグラデュエートコースが開催されました。台風が接近する悪天候の中、多くの受講生に参加して頂きました。
午前中の講演では、部分床義歯作製に必要な9つのポイント(1.残存組織の状態 2.咬合平面の修正が必要か、3.咬合高径と顎位が正しいか、4.オクルーザルストップの確保ができるか 5.把持面が確保できるか 6.対合歯との力関係 7.維持装置をどうするか 8.審美的要求度 9.経済的問題)について詳しく説明していただきました。咬合のバランスを保ちつつ口腔内全体の調和が得られる義歯を提供する事の大切さ、義歯装着後の経時的な口腔内の変化に対応するメインテナンスの重要性を実際の症例を提示して教えていただきました。また粘膜負担性の義歯における咬合付与の留意点として1.残存歯に咬合接触を与え、かつ全体的な咬合バランスをとる 2.残存歯のみに強い側方力や咬合圧をかけない 3.粘膜負担領域の人工歯には強い側方ガイドをあたえない 4.残存歯にとらわれず、咬合平面や咬合高径を適正にする 5.残存歯部のみでの咬合をさせない等を解説して頂きました。
部分床義歯の設計以外にも先生が多用している磁性アタッチメントの要点、臨床の勘所、MRI撮影時におけるアーチファクトおよび安全性、午後からはインプラント治療の問題点について臨床例などを踏まえ解説いただきました。特に有床義歯とインプラント支台が混在する症例では骨支持のインプラント、歯根膜支持の天然歯、粘膜支持の義歯床のバランスがその後の経過に影響を与える事などを教わり、ここでも補綴後のメインテナンスが最も重要であると力説されていました。そして最後に先生の得意分野であり、普段あまり目にする機会のない顎顔面補綴の様々な症例を紹介していただきました。

 
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