日時:平成18年7月23日(日) 9:30〜17:00
講師:高橋英登氏
日歯生涯研修コード:041200

> 講演後記

 
 

2005年11月5日号の週刊ダイヤモンド誌に『深刻度はアスベスト以上?「アマルガム問題」の不気味』という記事が掲載された。
「第2のアスベスト」があなたの口の中にあるかもしれない・・・という書き出しで始まるこの記事にはアマルガムについて二つの危険性があると述べられている。ひとつは長く人体に接していることから生じる金属アレルギーの問題、そしてもう一つは、アマルガムの50%を構成する水銀が徐々に溶け出すことから引き起される問題である。神経毒である水銀の影響で不眠、めまい,頭痛などの不定愁訴が発現し、今米国で起こっている自閉症裁判もこの神経毒を問題視し、提訴が生じていること、そして我が国ではいまだに何ら対策が取られていない点など、読者には非常にセンセーショナルな内容である。
この記事が歯科業界誌のデンタルダイヤモンドに載ったのならまだしも、ほとんどの町の本屋さんに置かれて、多くの患者さんの目に止まる、発行部数がケタ違いの一般誌に大々的に取り上げられているのである。
これらのことからわかるように、我々歯科医が考えている以上に、患者さんは口の中の金属に対しますます懐疑的に、そして神経質になっているのも事実である。
では一転して我々の日常臨床の事を鑑みるに、これらの患者さんサイドの懸念材料を無視していまだに平然とあまり高品位とは言えない歯科用合金をどんどんいれている。さすがにアマルガム充填は減少しつつあるものの、同一口腔内にイオン化傾向の全く異なる多種多様の合金を何の疑いもなく装着しているのが現状である。
先の週刊誌の記事の一節にもあるように、これがいつ今のアスベストの様に大きく社会問題化され、我々歯科医にふりかかるかも知れないのである。
しかし、現在の歯科医療においては学生教育を含めていまだ金属修復が当たり前であり、特に歯科補綴領域(特に欠損補綴)においては他に選択肢がないのも現実である。
しかし、近年の歯科材料の進歩や医療技術の進展は、不可能とされていた全ての口腔内修復をメタルフリーで可能とするところまで近づいているのも事実であろう。
患者サイドからのニーズそして医療の安全性という観点からも今後の歯科医療においてメタルフリー化の流れはますます加速されることは周知の事実である。
そこで今回の講演では患者さんから評価されるできるだけ金属を使わない歯冠修復、欠損補綴について現況及び将来への展望について御紹介したい。

 
 
  1. 歯科医療がおかれている厳しい現状を認識する。
  2. 患者さんから評価される歯科医院改革へ私の試み.
  3. 今、患者さんが望む歯科医療とは何か
  4. メタルフリー・M.I.・高審美修復の状況
  5. これから我々がなすべきことは何か
 
 
昭和52年 日本歯科大学歯学部卒業
日本歯科大学歯学部歯科補綴学教室第U講座入局
  昭和54年 東京都杉並区に井荻歯科医院開設
  昭和60年 金属と陶材の溶着に関する研究で歯学博士授与
  昭和62年 日本歯科大学歯学部歯科補綴学教室第2講座 講師
  昭和63年 東京都国民健康保険診療報酬審査委員(平成12年まで)
日本接着歯学会 編集委員(平成12年まで)
  平成5年 日本補綴歯科学会指導医 認定
  平成7年 日本歯科医師会生涯研修講師(平成7年度8年度)
  平成12年 日本歯科大学 退職
  平成13年

日本歯科医師会診療情報提供に関する検討委員会委員
(平成14年まで)
日本接着歯学会 理事

                             
  平成15年

東京都杉並区歯科医師会 理事(学術担当 平成15年度16年度)
東京都歯科医師会 保険指導員

 
 
  1. 高橋英登ほか:接着材の選択とその基準および操作 接着を制する者は審美を制す,  2002別冊The Quintessence,頁134-147,2002
  2. 高橋英登ほか:金属を用いた修復の問題点を考える, DENTAL DIAMOND 増刊号,第27巻第6号,頁14-17,2002
  3. 高橋英登:メタルフリーレストレーションの新しい潮流, DENTAL DIAMOND 増刊号,第27巻第6号,頁30-35,2002
  4. 高橋英登:メタルフリー臨床のポイント, DENTAL DIAMOND 増刊号,第27巻第6号,頁52-59,2002
  5. 高橋英登:C&B リペアーキット,歯界展望 Vol.102 No.3, 頁611-614,2003-9
  6. 高橋英登:歯科医療の現状を打破するには 求められる患者中心医療の実践,日本歯科評論 Vol.64,頁52―55,2004-1
  7. 高橋英登:自由診療における情報提示の実際 オールセラミックス ハイブリッドセラミックス ラミネートベニア,日本歯科評論 Vol.64, 頁60-63,2004-1
  8. 高橋英登:ハイブリッドセラミックスの臨床応用とその経過 ハイブリッドセラミックスの現況,歯界展望 Vol.103 No.1, 頁150-155,2004-1
  9. 高橋英登ほか:ハイブリッドセラミックスの臨床応用とその経過 ハイブリッドセラミックス臨床の今後の展望 ―よりよい普及を目指すために―,歯界展望 Vol.103 No.2, 頁375-379,2004-2
  10. 高橋英登ほか:「GCユニフィル ローフロープラス」「G−ボンド」「G−ライト」の臨床 診療効率向上に寄与する、新しいフロアブル コンポジットレジン充填システム,日本歯科評論 No.742 Vol.64(8), 頁143-152,2004-8
  11. 高橋英登 遠山佳之:ラミネートベニア修復,ステップアップ接着治療 ―正しい理解と実践―,口腔保健協会,頁74−79,2004 
  12. 高橋英登 遠山佳之:ジャケットクラウンの接着,ステップアップ接着治療 ―正しい理解と実践―,口腔保健協会,頁80−85,2004 
  13. 高橋英登:メタルフリーでブリッジは可能かー欠損補綴におけるメタルフリー修復の現状とEGファイバー内在型エステニアブリッジの臨床応用―,日本歯科評論 No.750,Vol.65(4),頁53-64,2005-4
  14. 高橋英登ほか:切端部咬耗症に対する接着修復,日本歯科評論 No.751,Vol.65(5),頁137-144,2005-5
 
 

7月23日(日)に平成18年度第4回PGCコース講演会が,東京都開業の高橋英登先生をお招きして開催されました。

講演前半では“患者さんから評価される歯科診療を目指して”と題し,本年4月に改定された保険制度の問題点から,本当に患者さんにとってよい治療が何かを考えさせられました。また,普段気にとめることのない保険治療にかかる治療コストを例に出していただけましたので納得のできる内容でした。
後半では高橋先生のご専門であるメタルフリーレストレーションについて,各材料や手技の現状と展望をお話しいただけました。ご自身の30年近い臨床経験もふまえてのお話でしたので説得力があり次の日から実践できるなという印象でした。

賛助の企業の出展や多くの資料が提供されましたので,メタルフリーレストレーションについて理解の深まる1日になりました。

 
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