オーラルフレイルとは、年齢に関係なく口腔内で観察される口腔機能の低下状態を示す概念である。昨年はこのオーラルフレイルの概念を説明した。
最善の義歯を製作するとはどういうことであろう。それは口腔機能を十分に満たすことが出来る義歯である。今は高齢者のみならず若年者もフレイルと言われるようになった。その共通項は舌の機能障害である。その舌の機能障害の原因は舌骨位置の低下である。若年者から高齢者まで共通する舌骨問題はそれぞれの年代で特徴がある。若年者の舌骨低位問題は発育不良と低運動性などの生活習慣が関わっている。それに比べ高齢者においては高齢化に伴う呼吸機能の低下と運動性の低下である。そして両者に共通する咀嚼障害である。若年者における咀嚼障害と高齢者における咀嚼障害は内容が若干違う。それらの口腔内を中心とする問題点を解決する方法は舌骨の位置を変えて舌に目覚めて貰わなくてはならない。今回舌に対して機能回復をもたらす装置として各種の装置を開発した。勿論補綴物にその形態を組み込むことも必要である。装置の必要性や構造と製作法を理解せずに応用することは出来ない。今回はその装置の原理や応用について解説し、フレイルを乗り越える手段の一つとして考えてみようと思っている。
月刊小児歯科臨床4月号『歯突起を巡る諸問題』