日時:平成27年6月7日(日)9:30〜17:00
講師:丸茂 義二 氏

> 講演後記

顎機能を主体で考える歯科治療の実際
臨床を見る目を養うのは難しいことである。それは絶対的に知識が必要だからである。知識とは興味がある本に書いてあるのではない。興味の無い本に知識が書いてあるもので、臨床は興味の有無に限らず、好き嫌いに限らず知らなければならないことがある。自分の技術の判定は患者が満足するか否かで決定してはならない。というのは、患者は治療費を支払っているにも拘わらず評価は遠慮がちである。しかも歯科医も自分では成功したと思い込みたいので友人にも成功体験を話したいのである。失敗体験こそ治療技術向上のきっかけである。大切なことは失敗しないことではなく、成功する方法を知り、それが出来るようになることである。繰り返す が『失敗しない方法』を学ぶのではなく『成功する方法を学ぶ』ことが大切である。『自分の出来る方法を見つける』のではなく『成功する知識・技術を会得する』ことである。顎機能を主体と言うことは、補綴物の設計であり、咬合であるということだ。顎機能を無視した咬合はクレンチングを生み、肩こりを生み、歯周組織も破壊する。補綴の悲劇を繰り返さないために、若い内に基本の基本を学習することが必要である。

  1. 咬合の基本原則
  2. 術式の限界を知る
  3. 必要な知識とは
  4. 失敗しない方法と技法の限界
  5. 成功する方法と知識の限界
  6. 何をもって補綴物の成功とするか

1980年 日本歯科大学卒業,日本歯科大学大学院歯学研究科補綴学専攻
  1984年 歯学博士取得,日本歯科大学補綴学第二講座助手
  1988年 日本歯科大学補綴学教室講師
  2001年 日本歯科大学付属病院顎関節症診療センター初代センター長
  2004年 日本歯科大学付属病院助教授
  2005年 日本歯科大学東京短期大学教授
  2010年 日本歯科大学名誉教授

  1. 咬合の役割 日本アンチエイジング歯科学会誌 Vol.5 43-48,2012 2012年
  2. 高齢者にやさしい歯冠修復 補綴治療のための咬合様式 日本歯科評論社別冊,  pp.43〜52,   2011.
  3. 『態癖』が歯列に及ぼす影響からの気づき 小児歯科臨床,Vol.16,No.11:16-27,2011

平成27年6月7日 愛知学院ポストグラデュエートコースが開催されました。
講師に 丸茂 義二 先生をお招き致しまして、「臨床4年、5年目の先生に贈る講義 歯科でしか患者を健康に導くことができないことがある。そのために何を勉強する必要があるのか」という演題で御講演いただきました。当日は、若手の先生からちょっとベテランの先生まで130名ほどの受講生で、会場はほぼ満席でした。
講演は若い先生に向けて、医療を携わるのものとしての心構え、知識があること、診断が正しいこと、技術があること。の必要性
そのうえで、咬合を学ぶ目的として咬合は教養ではなく、実学である。最終的に最良の咬合を与えることによって、患者の顎口腔機能、周辺組織・器官が最大限の機能や寿命を全う出来るようにすること。
さらに、咬合の基本的な用語の説明、咬合関係5つの大切、補綴物の咬合の原則、咬合面形態の決定要素、味覚障害、咬合様式の進行とは、等 豊富な経験と多数の臨床例を大変綺麗なスライドで御説明いただき、さらに話は尽きませんでした。 若い先生のみならず、歯科医療に携わる者として、大変勉強になる講演でした。