> 講演後記
顎機能を主体で考える歯科治療の実際 臨床を見る目を養うのは難しいことである。それは絶対的に知識が必要だからである。知識とは興味がある本に書いてあるのではない。興味の無い本に知識が書いてあるもので、臨床は興味の有無に限らず、好き嫌いに限らず知らなければならないことがある。自分の技術の判定は患者が満足するか否かで決定してはならない。というのは、患者は治療費を支払っているにも拘わらず評価は遠慮がちである。しかも歯科医も自分では成功したと思い込みたいので友人にも成功体験を話したいのである。失敗体験こそ治療技術向上のきっかけである。大切なことは失敗しないことではなく、成功する方法を知り、それが出来るようになることである。繰り返す が『失敗しない方法』を学ぶのではなく『成功する方法を学ぶ』ことが大切である。『自分の出来る方法を見つける』のではなく『成功する知識・技術を会得する』ことである。顎機能を主体と言うことは、補綴物の設計であり、咬合であるということだ。顎機能を無視した咬合はクレンチングを生み、肩こりを生み、歯周組織も破壊する。補綴の悲劇を繰り返さないために、若い内に基本の基本を学習することが必要である。
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