<原 紳也氏>
小児科診療の現場で働く小児科医師・看護師から<あのお母さんは苦手><あの子は大変><あの家族は難しい>などの声を耳にします。確かに患児・保護者と短い時間接しただけではそのような印象をもつこともあるでしょう。しかし、ある程度長い時間接して<どうしてこんなふうに考えるのだろう・話すのだろう、理由があるのではないか>と分析してみると我々が捉える<変な人・困った人>がそうでない人に変わるかもしれません、また、その過程にはナイスなコミュニケーションスキルが存在しているのかもしれません。実例を紹介しながら考えてみたいと思います。
<岡崎 好秀氏>
あなたの診療室の子ども達は、どんな顔をして帰っているだろう。笑顔で帰すことを“心に貯金をして帰す“と言う。これを心がけると、次回はもっとおりこうになり、いつまでも来てくれる患者となる。一方,泣いて帰すことを“心に借金をして帰す”と言う。すると、次回はもっと大泣きをし、いつの間にか来院しなくなる。これは未来の患者を失うことにつながりかねない。さて歯科医療には、治療手技等の“テクニカル・スキル”と患者に対する“コミュニケーション・スキル”が必要である。現在の歯学教育では、前者が中心であり後者は十分とは言えない。今回,“心に貯金をして帰す”ための“コミュニケーション・スキル”について一緒に考えたい。