PGC.Journal 愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラデュエートコース   愛知学院大学歯学部同窓会

 
日時:平成26年7月13日(日)9:30〜17:00
講師:寺内 吉継氏

> 講演後記

 
 

根管治療した歯が失敗するこということは再感染したことを意味する。そして再感染を起こす原因で最も多いのがCoronal Leakageである。逆に言えばこのCoronal Leakageを抑えることが根管治療を成功に導くための最善策ともいえる。Coronal Leakage以外で根管の感染原因としては「歯根破折」、「根管治療時に除去できなかった細菌の増殖」、「未処置根管」、「バイオフィルムの発生」などが考えられる。さらには感染根管以外が原因でも患者はエンド領域の痛みとして訴えてくる場合もある。患者の訴えに従いせっかく根管治療を施しても痛みがとれなければ患者との信頼関係を崩すことにもなりえる。このため治療を成功に導くにはまず正確な診査診断をおこなうことが大前提である。米国専門医の5年根管治療成功率は99.3%と非常に高い数値が出ているが、これは正確な診査診断の基に適切な治療が行われているからであろう。どんなに高度な根管治療を施しても原因が根管になければ元も子もない。また再根管治療を施す過程では「未処置根管の探索」、「根管充填材の除去」、「レッジ根管のバイパス形成」、「穿孔部の充填」、「破折器具の除去」など、抜髄時とは違った対応が含まれるケースも多い。今回の講演ではエンド領域の正確な診査診断方法と成功率の高い治療方法の勘所、そして再根管治療時によく遭遇する偶発症の対処方法を紹介し明日からの診療に役立てていただければ幸いである。

 
 
  1. エンドの診査診断
  2. 感染根管の原因
  3. 根管治療の成功率を上げるには
  4. 再根管治療時の勘所
  5. 偶発症への対応
 
 
 

出生地:横浜 生年月日昭和40年11月23日 血液型B型
日本大学歯学部卒業
東京医科歯科大学歯学部 第三保存学講座研修医終了
東京医科歯科大学歯大学院 医歯学総合研究科 口腔機能再構築学系 摂食機能保存学講座歯髄生物学分野(歯髄生物学分野)博士課程 卒業
Loma Linda University 歯内療法学講座研修  
University of Pennsylvania 歯内療法学講座研修
University of the Pacific  歯内療法学講座研修
Endodontic Opinion Leaders Forum 参加
L. Stephen Buchanan Endodonotic course 研修

医療法人社団 インテリデント CT&米国式根管治療センター 理事長
東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 歯髄生物学分野 非常勤講師
日本歯内療法学会 関東甲信越静支部 理事
日本顕微鏡歯科学会 指導医
Endo Tribune Editorial Advisory Board member
受賞歴
2001   日本歯内療法学会 大会会長賞受賞
2008  日本歯内療法学会 ワカイ賞受賞


 
 
  1. Terauchi Y. Pathways of the Pulp 11th edition. Chapter for Management of iatrogenic events. Mosby. 2014: in press
  2. Terauchi Y, O’Leary L Yoshioka T, Suda H. Comparison of the time required to create secondary fracture of separated file fragments using Ultrasonic Vibration under Various Canal Conditions. J Endod 2013;39:1300 –5.
  3. Terauchi Y. Separated file removal. Dentistry Today 2012;31:110-3
  4. YEAR BOOK 2014 『今だからこそ押さえておきたい!世界の歯内療法の潮流』 (別冊 ザ・クインテッセンス. クインテッセンス出版 2014
  5. マイクロデンティストリー YEAR BOOK 2013 (別冊 ザ・クインテッセンス). クインテッセンス出版 2013
 
 
平成26年7月13日 愛知学院大学楠元キャンパスにて第2回ポストグラデュエートコースが開催されました。講師に医療法人社団インテリデントCT & 米国式根管治療センター理事長の寺内吉継先生をお招きし、「臨床医が知っておくべき歯内療法のポイント―再根管治療を成功に導くために―」をテーマに講演が行われました。
寺内先生は、世界の歯内療法を牽引する米国ペンシルベニア大学で学ばれた最先端の知識と技術をもとに、現在日本にて歯内療法専門医として開業されています。本日の講演会では、エンド領域の正確な診査診断方法と成功率の高い治療方法の勘所、そして再根管治療時によく遭遇する偶発症の対処方法を具体的に分かりやすくご教示頂きました。
講演の始めにはグローバル・スタンダードの根管治療について、日本と米国の歯科医療の違いを教えて頂きました。その歯科医療の違いを最も位置づけるのは保険制度の違いによるものであるが、現在、歯科においては財政的にみて優れた医療を提供できる状態にはなく、世界水準レベルの歯科治療を患者さんに提供するのが難しい状況であること、制約のない自由診療をうまく活用することで、患者さんにとってより良い医療を提供することができること、自由診療により治療費が高くなる分、最先端機器の導入と医師のスキルアップは必須であること、最高・最善の根管治療を目指すことは患者を中心とした全員の幸せにつながること、など先生のお考えを熱くご教示頂きました。
インプラント時代のさなか、歯の保存を希望される患者さんは少なくありません。また歯科治療の約80%はかつて治療された歯の再治療であることを考えると、我々はもっと日常の臨床を見直さなければならないのかもしれません。
本日の講演会には、若手ドクターの姿が多く見受けられましたが、これからの歯科医療を担っていく若い先生方には大変刺激のある講演会であったと思います。今回のPGC講演会で得られたことを日常の臨床で、さらには将来の歯科医療の発展に役立てて頂けたら嬉しく思います。寺内先生、有難うございました。

 

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