PGC.Journal 愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラデュエートコース   愛知学院大学歯学部同窓会

 
日時:平成26年1月19日(日)13:00〜17:00
講師:村上 多惠子氏・小林 志保氏

> 講演後記

 
 
<村上 多惠子氏>
糖尿病も齲蝕も歯周疾患も生活習慣にかかわる疾病です。歯科保健指導は患者さんの毎日のセルフケアの支援です。患者さんとの信頼関係を築いて状況を的確に把握し、専門的な知識や技術を提供するには、お互いを生かす関係と有効なコミュニケーション技法が役立ちます。
性格や行動パターンは生育環境の影響もありますが、人間のDNA にきざまれた遺伝的気質がもとになっています。コミュニケーション技法やストレスマネージメント技法などを考えるうえで、自分や患者さんの気質をふまえたコーチング法を学ぶことで対人支援が楽になります。一人一人に合ったセルフケアの支援が可能になります。苦手なタイプの患者さんの対応もしやすくなります。
<小林 志保氏>
診療時、次に入られる患者さんの名前を確認した時に、なんとなく身構えてしまうことはありませんか。ある患者さんとのやりとりにストレスを感じる先生は少なくないのではないでしょうか。
なぜかあの患者さんと話すと、後味が悪くなってしまう。そのようなことは患者さんとの間に限らず、スタッフ間もしくは家族間でも経験されているかもしれません。相手にとっても自分にとっても望ましいやりとりができれば、今よりも楽に過ごせるのではないでしょうか。
その一助として、今回は、日頃のコミュニケーションパターンを振り返るとともに、より良い対人関係を構築するためにどのような点に気を付けたら良いのかについて一緒に考えていきましょう。
 
  <村上 多惠子氏>
  1. 初対面の信頼関係の形成
  2. 遺伝的気質チェックリスト(自分のDNA気質を知ろう!)
  3. 行動を生みだす6つのDNA気質
    人の性格の中核となる人格気質
    ストレスに関与しているストレス気質
  4. 他者の気質理解 (気質当てゲーム)
  5. 患者さんの気質に応じた対応
<小林 志保氏>
  1. 日頃のやりとりの分析(交流パターン分析)
  2. 隠されたやりとりの分析(ゲーム分析)
  3. こころの状態の分析(自我状態の分析)
  4. お互いに心地よいやりとりをするために必要な視点(アサーション)
 
 
<村上 多惠子氏>
1974年 愛知学院大学歯学部卒業(歯科医師)
  1975年 東京歯科大学第4補綴学第1専修生を経て、歯科医院勤務
  1978年

愛知学院大学歯学部(口腔衛生学)助手

  1982年

愛知学院大学歯科衛生専門学校非常勤講師(2006年まで)

  1986年 歯学博士
  1987年 愛知学院大学歯学部講師・同附属病院医長(口腔衛生科)
  2001年 愛知学院大学歯学部 口臭外来(現口臭治療科)併任
 
【所属】
日本口腔衛生学会評議員('85-'05, '08-)、理事('05-'08)、査読委員('01-)、
日本交流分析学会評議員('96-)、
日本心身医学会代議員('00-'02, '04-)、評議員('02-'04)
ヘルスカウンセリング学会査読委員('03-) 
日本口臭学会評議員,その他学会員

<小林 志保氏>
2007年 五稜会病院 非常勤心理士
中江病院 心理相談援助スタッフ
  2008年 北海道医療大学大学院 心理科学研究科臨床心理学専攻 修士課程修了
中部労災病院MHC心療内科 心理判定員(現在に至る)
  2010年 愛知県桃陵高等学校 非常勤講師 中部労災看護専門学校 非常勤講師
  2011年 日本ガイシ株式会社 非常勤産業カウンセラー
 
 
  <村上 多惠子氏>
  1. 宗像恒次:自分のDNA気質を知れば人生が科学的に変る.講談社,東京,2007.
  2. 宗像恒次:第4章 SAT ソーシャルスキル・トレーニング.in SAT法を学ぶ.金子書房,東京,2007.
  3. 村上多惠子他:第3章 口臭を主訴とする患者へのヘルスカウンセリング.in宗像恒次(監修),改定版 歯科衛生士のためのヘルスカウンセリング(第2版).p156-167,クインテッセンス出版,東京,2006.
  4. 村上多惠子他:多様性を有する患者さんへの心理的アプローチ.in野口俊英 編著,歯周病と全身疾患.p189-197,日本歯科評論別冊,2006.
  5. 村上多惠子他:口臭外来でのヘルスカウンセリングの活用 in宗像恒次 監修,カウンセリング医療と健康.p124-133,東京,金子書房,2004.
<小林 志保氏>
  1.  松岡紘史,樋町美華,古川洋和,庄木春 美,小林志保,本谷 亮,安彦善裕,坂 野雄二:歯科領域における認知行動療法 の活用と今後の課題. 歯界展望 111(4):778 - 784,2008
  2. 松岡紘史,古川洋和,樋町美華,小林志 保,庄木晴美,本谷 亮,齊藤正人,安彦 善裕,坂野雄二: 舌痛症患者のストレ ス反応と痛みの重症度,口腔乾燥感,口 腔関連 QOL の関係性.日本歯科心身医学 会雑誌 23(1,2):12-16,2008
  3. 古川洋和,松岡紘史,樋町美華,小林志 保,庄木晴美,本谷 亮,齊藤正人,安彦 善裕,坂野雄二: 歯科治療恐怖に対する認知行動療法の有効性―メタ分析によ る検討―.心身医学 49(5):363-372, 2009
  4. Hirofumi Matsuoka・Mika Himachi・ Hirokazu Furukawa・Shiho Kobayashi・ Harumi Shoki・Ryo Motoya・Masato Saito・Yoshihiro Abiko・Yuji Sakano: Cognitive profile of patients with burning mouth syndrome in the Japanese population.Odontology, 98, 2010
  5. 小林志保,芦原 睦:集団自律訓練法の 特徴と有効性.心身医学 52( 1),38-44, 2012
 
 
平成26年1月19日に楠本学舎第一講義室にて、村上多恵子先生(愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座 講師)、小林志保先生(元 中部ろうさい病院 MHC 心療内科 臨床心理士)を講師に迎え、「患者と歯科医療関係者がお互いを活かす関係とコミュニケーション技法」‐患者さんと関係を楽にするコツを学びませんか?−と題し、ご講演をしていただきました。
村上先生のご講演は、自分のDNA気質を知ろう!ということから、まずはチェックリストを用いて参加者各々の遺伝的気質を知ることから始まりました。
気質コーチングの目的は、気質コーチングは、事故に対する+感情をもち、自己肯定感を高めるために実施されるものである → 医療者として自分を生かす。また、他者に対してプラス感情をもち、良好な人間関係を保持するために実施されるものである → 自分や患者さんの気質を踏まえて対応すると対人支援が楽になる。などが、挙げられます。
自分の気質を知り、患者さんとの気質をわかることにより、信頼関係を築いて状況を的確に把握し、専門的な知識や技術を提供する有効なコミュニケーションをとることができることを詳しく、気質のタイプを有名人に例えながら、また先生の日頃の外来での患者さんとの対応をお話していただきました。
http://www.healthcounseling.org/より、チェックリストを入手することができます。
皆様も、1度覗いてみてはいかがでしょうか?
後半は、小林先生が函館市ご出身ということから北海道弁の講義からスタートしました。
「歯がいずい」って、皆さんお判りになりますか? 痛いではなくて…だそうです(笑)
さて、今回は自分の日常のやり取り、日頃のコミュニケーションパターンを振り返るとともに、より良い対人関係を構築するためにどのような点に気を付けたら良いのかについて、1.日頃のやり取りの見られる3つの交流パターン(1.相補交流 2.交差交流 3.裏面交流)、2.自己成長エゴグラムについて、3.自己表現の3パターンを軸にご講演をしていただきました。
まずは、自分の日頃の会話のクセを振り返ることから、日頃のやりとりの分析(交流パターン分析)を行いました。
なかでも、裏面的交流の中で、最後には双方とも不快な感情で会話を終えてしまい、繰り返されるパターンをゲームと呼んでいるそうです。これは当人にはわからず後になって、「また同じようなことになってしまった」と感じることが多いです。これは暖かい交流をするのが苦手な人が無意識うちに不快でもよいから交流をしようとすることが原因だそうです。こんな、経験は先生方も1度はあるのではないでしょうか?ストレスをためないためには、会話(ゲーム)から、離脱することも重要だそうです。
エゴグラムとは性格分析の手法の一つで、反応パターンに分類し、そのエネルギー配分をグラフ化することで、その人の性格のクセを捉える事ができ、長所を活かす方法、短所を補う方法を作りだすことにより、ストレスをためない交流を可能にするそうです。
最後に、日頃の自己表現の仕方に着目し、意識的にストレスのないパターンに変えていくことが大切であると、自己表現について3パターン教えていただきました。
日頃、人(患者さん)とのコミュニケーションに悩むことが多いですが、自分のクセや相手の気質を知ることにより、お互いストレスのない会話ができることをお教えいただきました。

 
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