わが国は世界に類をみない超高齢社会を迎えており、口腔管理が自立できない高齢者の数も増加し、高齢者の口腔機能を維持・改善することは重要な課題であると考えられます。高齢者の口腔機能の維持・向上は、単に口腔衛生や口腔機能の予防的手段ではなく、全身状態の改善や全身疾患の予防に向けた医療の一環として位置づけて、普及させていくことが求められています。
口腔ケアは看護・介護の領域では普及しつつあるものの、口腔の専門家であるべき歯科医師は十分参入できていません。このまま推移すると、口腔ケアを行う職種は看護師などの他職種になる可能性もあり、これは歯科界としては憂慮すべき状況にあります。高齢者医療のチームアプローチに歯科医師が参入するためには、何らかの専門性をもち、差別化をはかる必要があります。すなわち、それが「専門的口腔ケア」です。
本講演では、歯科医師の専門性を発揮するべき口腔ケアの必要性や方法、全身管理、リスク管理について、その考え方から実際までを系統的にお話しします。さらに、『百聞は一見に如かず』ですので、ご希望の方(1回10名、3回予定)に国立長寿医療研究センターでの口腔ケアの実際をご見学いただく予定です。本企画が日々現場でご活躍されている皆様のご参考になれば幸いです。
(本講演は『在宅療養支援歯科診療所の施設基準に係る研修会』に該当し、受講修了証を発行します。)