PGC.Journal 愛知学院大学歯学部同窓会ポストグラデュエートコース   愛知学院大学歯学部同窓会

 
日時:平成25年7月21日(日) 9:30〜17:00
講師:牧草 一人氏

> 講演後記

 
 
近年、歯周治療における組織再生の予知性は確固たる地位を築き、その長期的な予後も数多く報告されている。また、インプラント治療では、GBRやサイナスフロアエレベーションなどの技術的な革新とCTやコンピュータ支援手術の導入というハード面での革新の融合により、単にインプラントの成功率そのものを議論するステージから長期予後や審美性などがテーマとなる新たなステージへとシフトしてきている。このような革新的な進歩のもと、歯科臨床上の問題点の多くは解決されてきているように思えるが、ここでは新たな問題点が生じていることも看過できない。つまり、現代の歯科医師は「歯周病治療とインプラント治療のボーダーラインはどこにあるのか?」という新たな命題に直面しているのである。さらに明確な表現法では、「どの歯を歯周治療で保存し、どの歯を抜歯してインプラントにすればよいのか?」となる。また、昨今の国際学会の傾向としては、インプラントの長期予後の問題としてインプラント周囲炎に対する警鐘がならされており、安易な抜歯とインプラントの選択は将来的に大きな負の遺産を残すことにもなりかねない。そこで本講演では、演者がこれまで行ってきた基礎研究と臨床結果をもとに、歯周病治療とインプラント治療の両者の利点と欠点を中立的に分析し、詳細な考察を述べてみたいと考える。
 
 
  1. 歯周病とインプラントにおける世界的な潮流
  2. 歯周組織とインプラント周囲組織の基礎医学的分析(血管構築を中心に)
  3. インプラント時代の抜歯の判定基準
  4. 歯周外科とインプラント外科における術式選択
  5. 歯周病患者におけるインプラント治療の実際
  6. 審美領域におけるインプラント治療の最前線
 
 
1987年 大阪歯科大学卒業
  【所属】
牧草歯科医院 院長
歯学博士:大阪歯科大学解剖学講座 学位論文:ニホンザル下顎骨骨膜の微細血管構築
日本歯周病学会認定 歯周病専門医・指導医
大阪歯科大学解剖学講座 大学・大学院講師(非常勤)     歯科医師臨床研修指導医
JIPI(日本歯周病・インプラント治療研究会)主宰
BIOMET 3i グローバルメンター

【学会】
日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会、日本解剖学会、American Academy of Periodontology、Academy of Osseointegration、European Academy of Osseointegration

【最近の講演歴】
岡山大学(2012年)、カタルーニャ国際大学(2012年)、コロンビア大学(2011年)、イベリアンシンポジウム(2011年、マドリード)など

 
 
  1. 牧草 一人.急増するPeri-Implantitis  −次の1本から起こさないために−
    the Quintessence 2013;32(2)  Now Printing
  2. Makigusa K, Toda I, Yasuda K, Ehara D, Suwa F, Lazzara RJ. Effect of platform switching on crestal bone around implants: a histomorphological study in monkeys. Int J Periodontics Restorative Dent 2013(33).  Now Printing
  3. Makigusa K. Histologic comparison of biologic width around teeth versus implants: The effect on bone preservation. JIRD 2009; 1(1):24-31.
  4. 別冊the Quintessence YEAR BOOK 2010 2010 年の歯科臨床 19 トレンド(共著).クインテッセンス出版
  5. 牧草一人,岡村大.フラップマネージメントにおける間違いのない術式選択法 the Quintessence 2009;28(7):31-57
 
 
平成25年7月21日(日)、京都府で開業されている牧草一人先生に 「歯周病学とインプラント学」−そのボーダーラインはどこにあるのか?− という演題で講演していただきました。
牧草先生は、まず治療に対する考え方について受講生に問いかけていました。 そして誰にでも同じ治療をしたら同じ結果が得られるわけではない事、 論文を読むことも大切ではあるが、真実は診療室の中にある事、 未来に向けて患者さんを診ていくことが大切なことを教えて頂きました。 現在、最先端である技術も10年後には過去のものになっていることを肝に銘じ 患者さんの性格、経済状況、生活環境などを考慮に入れ、患者さんが望まれていること を提供していくべきとお話しされました。
午後からは、各論に入り抜歯をしてインプラントにするのか、天然歯として保存を していくのかについて説明して頂きました。抜歯の判断基準として、歯科医はすぐに数値化されたものをさがそうとするが、そのようなものは存在しないと話されました。 患者のコンプライアンスを把握し、複数の治療計画を提示し患者に決定権を与え、 術者と患者が治療のゴールを共有していることが必要であると教えて頂きました。 ぺリオかインプラントかということではなく、お互いが高めあうようなことを考え、 歯を守るためのインプラント考えていくべきではないかとお話しされました。 バイオロジックウイズ、プラットホームスイッチング、抜歯即時埋入についても それぞれ解説して頂きました。 一日を通してすごく考えさせられる講演で、患者主体の治療をもう一度していこうと 思えた講演でした。

 
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