【第4回報告】

 
千田 彰先生

 平成15年7月13日愛知学院大学歯学部楠元校舎にて、第4回ポストグラデュエートコースが開催されました。


今回は、審美歯科シリーズ「漂白」これからの審美歯科―漂白・ポーセレンベニア−と題して、愛知学院大学歯学部歯科保存学第一講座 教授 千田 彰先生をお招きしてご講演を賜りました。
午前の部では、漂白・ポーセレンベニアについてのご講演。漂白トレ−作成とShadeEye NccによるShade Takingのデモ。午後の部では、持参していただいた上顎模型を使ってホームブリーチング用のトレーの作成、漂白前後の歯のShade Takingと評価、Night White Excelによる受講生ご自身の漂白の体験、ポーセレンラミネートベニアのプレパレーション、ポーセレンシェルの接着の実習等が行われました。
 Blackにより提唱された修復治療は、う蝕病巣の徹底除去・機械的保持力・窩洞外形線の予防拡大が原則でした。しかし、現在では修復物の予後は、プレパレーションの大きさに比例して悪くなると言われています。日本人の歯の喪失はNatural Historyではなく、歯髄根管処置を経ているものがほとんどであり、人為的喪失リスク要因が新たに生じているとも言われています。いかにして最小の侵襲で最大限の効果(minimal intervention)を得るかが重要であり、MI実行、実現のためには、う窩形成前のう蝕歯質の再石灰化への期待、う蝕原因菌の除去と予防拡大の見直し、ReplaceでなくRepairを実行、リーコルなどによる患者口腔内管理、さらに侵襲量の他、介入時期と内容も課題であると言われました。
実習で行われたホームブリーチングは、歯質保存的な審美治療であり、これからもっと臨床にとり入れられていくべき治療であるということ。さらに、ブリーチングを成功させるのためのポイントをご講演いただきました。術前の Shade takingは、患者の意見も踏まえて行い、測色計を利用して数値化する事、上下顎別の時期に漂白を行い、比較対象を残しておく事、知覚過敏症などの起こりうる症状を事前に説明しておく事、漂白前にPMTCを行い治療効果を高める事、後戻り現象がある事、漂白剤の作用機序と安全性を説明する事など漂白を実際に行う際に必要な事項を幅広く説明されておりました。
 質疑応答では、テトラサイクリン歯のバンディング(縞模様)のあるケースで、漂白によりさらに、バンディングが強調された場合はどうすればよいのか?というご質問に対しては、ホームブリーチングとオフィスブリーチングの併用で治療にあたるということでした。
Night White Excelの説明書との相違点は、漂白トレ−の装着は、夜就寝時に装着していただくように薦めているそうです。
また、歯質保存、審美性、接着性を常に念頭において日常の臨床にあたると、ポーセレンラミネートベニアの適応症は以外に多いものであり、審美性に優れ歯肉への為害作用の少ないポーセレンラミネートベニアを平素から取り込まれることをお勧めしますとのことでした。プレパレーションでは、Barの選び方(先端径0.9mm幅)、切削時の注意点(歯頚部を削りすぎない・十分なシャンファ−を歯頚部に与える)シェル装着時の注意点など、多方面からの丁寧なアドバイスを頂き、大変参考になりました。今回も実習で使用した薬剤や切削具などのお土産付きといったご好意もありがたいところです。
 最後に、千田先生・柳原先生をはじめインストラクターを勤めていただいきました先生方にこの紙面をかりて心より感謝申しあげます。

23回生 奥田 聖香

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