【第3回報告】

 
近藤 隆一先生


 平成15年6月22日(日)、愛知学院大学歯学部楠本学舎において、平成15年度第3回 ポストグラデュエートコースが開催されました。

今回は東京都目黒区で開業されておられる近藤隆一先生をお迎えして「ホワイトニング様式の選択と臨床応用」という演題でご講演いただきました。
 歯科界のみならず一般社会においても口腔内への審美的な要求はますます高まり、歯の漂白(ホワイトニング)は近年日本においても日常の臨床に導入されつつあります。しかし診査、診断、適応症の判断、漂白方法の選択は複雑であるにもかかわらず、曖昧になっていることが多いと思われます。講演会当日は、今まで行ってきたホワイトニングをより成功させるため、またこれから診療に導入していこうと思われている先生方が多数受講されました。
 これまでの審美的な歯科治療と言えば、侵襲の大きい術式が主流でありました。ホワイトニングは「削らない」審美的な治療であり、現在重要視されている最小の侵襲(Minimal Intervention : MI)という観点からみても合理的かつ安全な治療方法であることをまず述べられました。一方、ホワイトニングに対する市場は未だ熟しているとは言えず、歯科医側の問題として、無関心、危惧、不安があげられました。今回の講演はこれらの問題を解決する大きな糸口となるものであったと思います。
 現在、生活歯のホワイトニングでは、「オフィスホワイトニング」と「ホームホワイトニング」に大別され、前者は高濃度の過酸化水素水(35%)を用い、診療所において歯科医師が行うもので、後者は10%過酸化尿素を用い、患者が自宅にて行うものであります。結論は、薬剤の安全性、明度、ホワイトニング後の後戻りなどの観点からすると、「ホームホワイトニング」を主流として行い、症例によっては「オフィスホワイトニング」もしくは両者を併用することが望ましい、またホワイトニング後の色調のコントロールはPMTCとホームホワイトニングを基本としたプランニングがキーポイントとなることです。多数の症例写真をお持ちいただき、理論上だけでなく実際の口腔内での変化を確認できたことで、受講された先生方にはより身近な治療方法に感じていただけたのではないでしょうか。ホワイトニングの副次的な効果として、患者の「美しさを保ちたい」という気持ちが、プラークコントロールのレベルを向上させ、口腔内への関心がより高まるそうです。
 ホワイトニングは単なる治療のオプションではなく、今までの歯科医師と患者の関係や、停滞した歯科界の状況を覆す可能性が十分にあることを実感できる講演でした。

32回生 山田三良

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